出産をした直後は喜びでいっぱいだったはずなのに、少しすると情緒不安定になってきます。
出産によって体力が著しく消耗してまだ回復していない時でも、慣れない赤ちゃんの世話だけでなく家事もこなさなければならないこともありますよね。
そんな時にパートナーである夫の言葉や態度によって、産後クライシスになっていく可能性が高くなります。
赤ちゃんとの幸せな家庭を築いていくうえでも、いろいろな面で夫婦で協力してくことが重要なポイントになりますよ。
産後うつになる原因が夫にあることも多い
産後うつの原因として、最近は「姑」よりも「夫」を理由に上げるママが増えています。
夫の両親と同居している場合よりも、赤ちゃんが産まれるまでは夫婦だけで暮らしていて、産まれてからも実家などに頼らずに生活していると夫の協力は非常に重要になってきます。
たしかに夫であるご主人は家計を支えるため、日本では夜遅くまで働き、休日もあまりとれないような会社も多いですよね。
それでも出産して体力も落ちているママに、育児も家事も、加えて夫の世話もすべてさせていては精神的疲労と肉体的疲労によって、ママを追いつめていく結果になります。
育児や家事にいっさい協力しないパートナーの場合、夫への不満が募って「離婚」というケースまでいく家庭が増えているんですね。
「産後クライシス」とは、NHKの情報番組が作った造語であり、出産後2年以内に夫婦の愛情が急速に冷え込む状況と定義しています。
厚生労働省が「母子家庭になった時期」を調査した結果、一番多かったのは「子どもが0歳~2歳の時期に離婚」だったようです。
ですからこの時期は夫婦で乗り越えなければならない重要な時期であることがわかると思います。
夫婦二人で暮らしていた時は、夫への愛情を感じていたママも、赤ちゃんを出産した途端にその愛情が赤ちゃんにほとんど向けられることのほうが多いんですね。
そんな時に育児や家事に非協力的な態度や言葉で接すると、愛情が薄れたどころか憎しみの感情でいっぱいになってしまうママが多いのを知っているでしょうか?
大変なのに、私がこんなにがんばっているのに、あなたは何様??
みたいに・・・
でも、夫のほうはそれが理解できません。
そんな中、体のことを気遣ってくれたり、少しでも家事などに協力してくれるとママが産後うつに悩まされる確率は格段に減ります。
産後うつは実家が遠くて頼れない、近くにママ友がいないなど、ひとりですべてを抱え込んでいる人に多いんですね。
また全てをきちんをやろうとする「完璧主義」の人も、がんばりすぎて心も体も疲れてしまう傾向があります。
夫からすれば何気ない言葉であっても、妻にしてみれば、「他人事」のように受け止められることがあります。
すべてを抱え込んでいるママにとっては、ゆっくりする時間もないためにイライラはつのり、情緒不安定になってきます。
せっかく産まれてきた赤ちゃんのためにも、幸せな家庭で育ってもらいたいですよね。
それには夫であるパパの協力と気遣いはとても大切です。
パパのほうも育児の方法はもちろん、ママへのアプローチの仕方を知らないだけということも多いので夫婦でしっかり話し合うことも大事ですね。
産後うつが重症化すると自分たちでは解決できないことのほうが多くなります。
そうならないためにまず地域の「子育て支援センター(子ども家庭支援センター)」などを利用しましょう。
子育てに関する情報だけでなく、育児相談、保育ママ、一時預かりなどの情報も手にはいります。
夫の協力が難しい場合はこういった地域の支援センターを有効に活用することですね。
同じような悩みを持ったママ友が出来ると、気持ちにゆとりが生まれてきます。
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産後うつとマタニティーブルーの違い
出産後2~3日すると、30~50%の人が、情緒不安定になったり、不安感や抑うつ気分、不眠やイライラ感などの精神症状を経験するんですよね。
これらの症状ピークは産後の5日目頃です。
10日目ぐらいまでには軽快してくるのですが、これがマタニティーブルー(マタニティーブルーズ)です。
生理的要因が強くかかわっているとされ、胎盤からの女性ホルモンのエストロゲンの減少などの影響が考えられます。
特徴としては、一過性であり、短期間で症状が現れて消えていきます。
なのであまり深刻に考えないようにしたほうがいいですね。
ところが数週間から数ヶ月たっても、不安や緊張、集中力の低下、不眠などに加え、必要以上に罪悪感を抱いて自分を責めたり、自分が価値のない人間だと感じるなどの心の症状がでてきたりして、改善が見られない場合には産後うつ病が疑われますね。
通常のうつ病と同じように吐き気、疲労、頭痛、食欲不振などの身体的な症状を伴うことが多いです。
とくに赤ちゃんの健康や母乳に関する心配が多く、赤ちゃんが泣きやまない時には重大な病気ではないかと心配したり、いたらない母親であると自分を責めて自己嫌悪になり、自殺を考えたりすることもあります。
「産後うつ」はれっきとした病気ですが、世間ではまだまだ認知されていないのが現状です。
ただ、夫が理解を示して協力的であったり、実家の母親などのサポートがある場合などは必ずしも医師の治療が必要というわけではありません。
気持ちを素直に打ち明けられる環境であったり、家事や育児のサポートがあれば、そのうち徐々に改善していくことも珍しくありません。
また、責任感が強い人、頑張りやさん、完璧主義の人がなりやすい傾向もあり、無理をしないで気持ちにゆとりを持って、適度に手を抜くことが出来る場合は重症化しないですむことがあります。
育児に完璧などありえないのに、今の時代は情報が多すぎて、それに振り回される人も多いんですね。
ただ改善が全く見られない場合は早めに心療内科などにかかって相談することも必要です。
軽度を含め、産後うつ病にかかるママの割合は約10%くらいといわれています。
産後うつで産後クライシスにならないための対処法
人間は産後でなくても気持ちにゆとりがなくなると感情のコントロールが難しくなります。
通常なら対処できることであっても、極度の疲労と精神的に追いつめられた状態の時は感情が爆発してしまうことが多いです。
そういう状態でも一方では冷静に自分を判断している自分もいて、自己嫌悪に陥ったりして自分を責め、最悪の場合は自殺という手段を取ることもあります。
産後うつの時は夫の理解と協力は欠かせません。
別に産後でなくても体調が悪い時には夫に家事を手伝ってもらいたい時だってありますよね。
まだ赤ちゃんがいない頃からでも、普段から夫が家事に協力的な場合は産後にも大きな問題にならないことが多いようです。
相手の気持ちや体を気遣うのは結婚してからでもとても大切なことです。
産後にママと赤ちゃんだけ実家に戻る場合、ママにとってもパパにとっても楽な場合がけっこうありますよね。
実家の母親に頼る場合は精神的にも楽ですし、家事の負担が減るだけでなく、赤ちゃんを見てもらうことが出来るので自分のための時間を持つことが出来るようになります。
少しでも自分がゆっくりすることが出来る時間を持てると、精神的にも余裕が生まれます。
ただ、実家を頼る前に夫婦間でかなりギクシャクしていた場合、実家で暮らすことが楽で、夫の存在が煩わしく思えてしまうママも多いんですね。
また、楽をさせてもらった実家から戻ったあと、家の中が散らかり放題にしてあったり、赤ちゃんが生まれる前と同じように、夫が自分で出来ることもやらないでいるとママのイライラは蓄積されていって、いつか爆発してしまうことになります。
ママのほうもパパになったんだからこれくらいしてくれても当たり前、こんなことは言わなくてもわかるはず、という先入観が強いのできちんと夫とのコミュニケーションをとっていないケースも多く見られます。
男性の場合はきちんと言葉で伝えないとわからないことも多いんですよね。
手伝ってもらいたい場合はきちんと言葉で伝えることも大切です。
「言わなくてもこれくらいのことは気づいてよ!」はダメです。
夫にしてみればなんで赤ちゃんを産んでからイライラばかりしているのかわからずにいることも多いんですね。
ホルモンバランスの乱れによるものだということも、そのうちおさまるということもきちんと伝えておきましょう。
夫だって仕事から疲れて帰ってきた時に、妻がイライラしてばかりで家の中が刺々しい空気に包まれていたら、ちっとも安らぐことが出来ませんから・・・
夫のほうも妻に対してねぎらいの言葉をかけたり、話を聞いてあげることで、ママの育児疲れも軽くなることって多いんですよね。
ママのほうも、せっかく夫が手伝ってくれた時にああじゃない、こうじゃない、自分でやったほうがマシ、かえって仕事が増えた・・・なんてことを言ってしまう人もいますが、これは絶対にNGです。
人ははじめから上手にできる人ってなかなかいませんから、やってもらった時はまず夫に「ありがとう」ということが大事です。
まず感謝の気持ちを伝えてから直してもらいたい点などは、やわらかい口調で「ここをこうしてくれればもっと助かる」とかいうように伝えることです。
気持ちにゆとりがなくなると相手を責めることばかり考えたり、言葉にしてしまいがちですが、相手に変わってもらうことばかり考えている場合はなかなかうまくいきません。
パパが少しでも赤ちゃんを見ていてくれると、ママも美容院にでかけたり、睡眠不足を補うために少し昼寝したりすることができるので気持ちも楽になっていきます。
また、がんばりやさんや完璧主義のママは今までどおり、何でもきちんとこなそうとする傾向がありますが、少しは手を抜くことも必要です。
買い物も赤ちゃん連れだとなかなか出来ない時や、天候にも左右されることも多いですから宅配サービスを利用したり、利用できる地域ならネットスーパーなども選択肢に入れておくとけっこう楽ですよ。
「子育て」というのは本当は「親育て」だっていいますね。
夫婦で子どもを育てるという行為によって、結局は親自身を育てている・・・親が子育てによって人間として成長していくということに気づく人は産後クライシスも乗り切っていけると思います。
パートナーをコントロールしようとするのではなく、お互いにいたわりあいながら暮らしていくことが大切ですね。
ママも産後に感情の起伏が激しくなるのはわかりますが、夫の悪い面ばかり見ないで、ちょっとでもいいところを思い出してみることも必要です。
まとめ
赤ちゃんがいる、いないにかかわらず、夫婦間の会話というのは大切ですね。
明るく楽しい家庭で、夫婦間の会話がゼロなんていうのはまずないです。
夫婦だからこそ、家族だからこそ、感謝の気持ちはきちんと伝えることが重要です。
つい、甘えから相手に当たり散らしたりすることもあるかもしれませんが、悪かった時は素直に謝ることも大切ですね。