夏にうるさく鳴いているアブラゼミやミンミンゼミ、ツクツクボウシなどの声を聞くと、「夏!」って感じがしますよね。
音だけ聞いていても、蝉の声なら夏を想像しますよね。こうした「虫の鳴き声を聞く文化」って世界でも珍しいどうです。
欧米人が蝉の声を聞くと「ノイズ」として聞こえるみたいですね。
蝉はたしかにうるさいですが、コオロギや鈴虫とかが鳴き始めると、日本人ならたいてい、秋が近づいてきているのを感じますよね、
この違いは人種ではなく、母語である日本語が大きく関係しているようです。
虫の鳴き声を日本人は左脳でとらえている
【左脳と右脳】
脳には左脳と右脳で役割が違うことが知られていますよね。
右脳は情緒を司り、五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)を認識します。
右脳の認識パターンは瞬時に、直感的でありながら総合的に認識し、判断します。
多量の情報をデータとして記憶できるのも右脳の特徴です。
右脳は「動物的な脳」ともいわれています。
一方、左脳は思考や論理を司り、文字や言葉などを認識します。
左脳はパソコンでいうとCPUのような働きをするそうで、文字や数学などを論理的にプログラムを利用して分析するんだとか・・・
左脳は「人間的な脳」ともいわれています。
欧米人は虫の音を「右脳」で聞いています。
音楽や機械音のように・・・
ところが日本人は「左脳」で聞いているそうです。
「言葉」と同じように・・・
音楽や西洋楽器音、機械音は右脳で感知されるそうですが、それ以外は左脳で聞いているんだとか・・・
つまり川のせせらぎや母音、泣き声、笑い声、邦楽器音、動物の鳴き声、風の音、波の音、雨の音、そして虫の鳴き声も左脳で認知しているんですね。
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母語の違いで虫の音も騒音か風流な音かに別れる
【人種の違いではなく、母語の違い】
日本人だから虫の音を「虫の声」として聞いているのではなく、日本語環境で育っていれば、人種に関係なく左脳で聞くようになるといわれています。
これは医学博士である角田忠信氏の研究結果からいわれているのですが、日本語は左脳で情緒や自然をも認知しているそうです。
それに比べて英語などは子音は左脳で認知されますが、母音だけだと自然音と同じく、右脳で認知されるようです。
虫の声を文字で表記する国も日本以外はほとんどないようですね。
虫の音を左脳、つまり言語脳で聞くのは日本人(もしくは日本語環境で育った人)とポリネシア人だけだそうですよ。
日本文化を愛したあの、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)も随筆「虫の音楽家」のなかで、日本の虫文化に驚嘆したことを述べているようです。
◆ポリネシア
太平洋のミッドウェイ諸島(ハワイ諸島内)、アオテアロア(ニュージーランド)、ヌイ(イースター島)、ラパ、を結んだ三角形(ポリネシアン・トライアングル)の中にある諸島の総称
もし日本人であっても、外国語を母語として育てられれば西洋型になって、虫の音を騒音としてとらえるようになるということです。
人間の耳は通常、左耳から入った情報は右脳に、右耳から入った情報は左脳にいくようになっています。
ですから言語に関しては右耳で聞いたほうがよく認識されるそうです。
虫の声を言語としてとらえている日本人の場合は、左右の耳で同時に違う虫の声を聞いた場合、右耳で聞いたほうがよく認識できるということでしょうか・・・
日本のアニメは今、世界中で人気になっていますが、マンガの中の「音」は目に見える形で表現されていますよね。
それも、見て瞬間的に理解できる効果音として・・・
日本語は擬音語・擬態語(オノマトペ)の多い言語なんですよね。
※擬態語は本来音のない状態に音を当てるという非常に日本的な表現
虫の声が聞こえるのは当たり前って思ってましたが、まさか育った母語によって違って聞こえるとは思いませんでした。
秋の虫の声がつねに雑音にしか聞こえないっていうことは、まずないですし、夏から秋にかけて鳴く虫の声を聞いて、季節を思い浮かべることが出来ない・・・ということもまずないですよね。
生きている虫や動物だけでなく、たしかに雨の音とか、風、波、雷・・・いろいろなものの音を左脳で聞いているとは驚きですね。
虫の鳴き声の主な種類
声は聞き覚えがあるけど、何の虫の音なのかわからないっていうこと、ありますよね。
私が住んでいるところも、以前は木や畑が多かったので、8月の終わりになると虫達の大合唱でした。
それを聞くと「ああ、夏も終わりだな・・・」って感じたんですけどね。
最近は家が増えて、虫の音もだいぶ静かになってしまいました。
いろいろな種類の虫達がいっせいに鳴きだす夜は、その虫の音を聞き分けるのも楽しかったんですけどね。
都会に住んでいる人はあまり虫の音を聞く機会がないかもしれません。
ここでは主な虫の音を紹介しますね。
【虫の鳴き声】
◆ひぐらし
◆コオロギ
◆鈴虫
◆ツクツクボウシ
◆アブラゼミ
◆キリギリス
◆松虫
◆クツワムシ
◆ウマオイ
◆ツユムシ
◆ヤブキリ
まとめ
都会に住んでいると虫の声を聞くことって、たしかに少ないと思いますね。
木とか畑が少ないと、どうしても虫も見かけなくなりますよね。
この辺でもさすがにカエルはいないのでカエルの鳴き声って、ほとんど聞かないんですが、知人の家に泊めてもらった時、時期が春先で田んぼが周りじゅうにあったので、夜にはカエルの大合唱を聞きながらお風呂に入ったことがあります。
そこも今は田んぼが少なくなったそうなので、カエルも減ったかもしれませんね・・・